《MUMEI》 ◇◆◇ 市は多くの人々で賑わっている。 店も売り物も様々だ。 咲弥は通行人にぶつからないよう気を付けながら、黒蝶の後にぴったりとくっついて歩いていた。 (賑やかな所‥‥‥) 見る物全てに、咲弥は驚き目を見張る。 「珍しいか?」 「うん。どれも素敵。人も、物も‥雰囲気も」 にっこりと微笑む咲弥。 黒蝶は笑い返しつつも、常に辺りを警戒していた。 多様な人々が行き来する場所では、何かが起こらないとも限らない。 「黒蝶、どうしたの?」 「ん?‥ああ、悪い。余所見しちまったな」 「?」 咲弥は刹那立ち止まりきょとんとしたが、黒蝶に案内されるがままに歩き出す。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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