《MUMEI》

「え・・・太一と・・・」


和幸と結婚すると聞いた時点で、結婚式には太一も出席するだろうとは想像したが、まさか一緒に幹事をするなんて・・・


「和幸が太一に幹事を頼んだら、太一は愛加とやりたいって言ったんだって・・・」


美幸の言葉に私より早く千夏が反応する。


「ど、どういうこと!!」


それは私のセリフ・・・


「よく分からないよ。でも太一からのご指名なの。どう?愛加・・・」


美幸に聞かれて私は、


「どうって・・・」


困ってしまった。


「愛加が嫌なら他の子を探すから遠慮なく言って。ただ時間がないから早く決めてもらえると助かるな」


美幸は私のことを気遣って優しく言ってくれる。


そして千夏は私がどうするのかを興味しんしんで見ている。


「やろっかな・・・太一と」


「あぁ〜良かった!」


美幸がホッとした表情をする。


そして千夏は・・・


「いいの?」


なんて心配そうに聞いてくる。


きっと佐久間さんのことを心配してるんだ。


「うん。いいの。そろそろ友達に戻りたいし・・・」


そう言いながらも、私は心臓がドキドキしていた。

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