《MUMEI》

「服もこんないらねーだろ」

人一倍外見に気を遣う友人、そのおかげでモデルなんていう華やかな仕事に引っ張られたのだろうが、それにしても服の数はハンパなく多い。どれもセンスのいいものばかりだが、古着屋をひとつ出店できそうな勢いだ。

「なおひろ欲しいのある?あげるよ」
「お前のじゃ小さいわ」
「うわ、何か懐かしいなー。半年前もTシャツ小さいってキレてたもんね」
「・・・・それは思い出すなよ」

軽く小突くと愉快そうに笑われる。

そっか、もう半年も前になるのか。雨の匂い、彼女の涙、掲げられた傘、思い出すセンチメンタルな想い。何だかずっと昔のことのようだ。忘れていた、あんまりに今が、楽しすぎて

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