《MUMEI》

「あ、そういえば店長がさ、」

湿った想いを煙にまぎれさせ、言葉を吐き出す。

「みんなで送別会?しようってさ」
「えーマジで?うわ、すげぇうれしい」
「シークレットで」
「・・・・言ったじゃん!今言っちゃったじゃん!」
「ドッキリでさー、みんなででっかいケーキとか注文するらしいぞ」
「うわー聞きたくない!ちょっとー、楽しみ半減どころか10分の1もないだろうが」
「リアクション頼みますよー銀二さん。初耳な感じで」
「無理だろもう!」

笑いながら、空気を入れ替えるべく立ち上がってベランダの窓を開ける。外は曇り空で寒い。入ってくる風の冷たさに眉をしかめながら紫煙を吐き出していると、隣に寄ってくる茶髪男。

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