《MUMEI》

俺は伸ばしかけた手を下ろした。
些細な妄想を煙と一緒に深く深く吐き出して、部屋に戻る。

大切なのは自分じゃない
コイツなんだ
それを守るためなら、自分の欲望や感情なんてあっさりねじ伏せてみせよう

「お昼どっか食べいく?」
「いいね、俺coco壱のカレー食いたい」

この暢気な笑顔を壊さないためなら、ずっと


固く誓って煙草を同じように灰皿の上でつぶす。
感情も煩悩も、このままつぶされてしまえばいいと真剣に思った。

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