《MUMEI》
本番
「女子の皆さん、そして一部の男子諸君!長らくお待たせしました!ここに第34回ミスター光岳コンテストを開催致します!!」

歓声があがる。会場のボルテージも上昇中。

「それではイケメン達に順番に入場してもらいましょう!」

司会の人の声に女子達の悲鳴があがる。

「エントリーNo1は3年4組神田尚樹くん!」

ああ〜…緊張して胃が痛くなってきた。

テレビに出たり、ステージに立って歌うより緊張する……。

「それではラストです!皆さんお待ちかね、エントリーNo13は2年3組谷口流理くん!!」

お、お待ちかね?

今まで以上の大歓声があがって、耳をつんざいた。

……なんで?

「いやぁすごいですね。谷口くんはあの春日有希にそっくりということで人気を誇っていたんですが、今までその素顔をなかなか見せてくれませんでしたね。この文化祭だけは特別という訳でしょうか?」

「いえ……ただクラスに協力したくて」

「優しいんですね」

「そういう訳じゃ」

……やりづらい。

「ではそれぞれ13人のアピールタイムに移ります」

……アピールタイム?

委員長つっ立ってるだけでいいって言ってたじゃん!

騙された!?

どっどうしよう…。アピールすることなんて何にもないよ!

な、何か特技は?

「流理」

「流理さん」

「あ……環さん無事だったんですか!?」

「……オイ」

「それより流理さん、ミスター光岳コンテストに出るなんて聞いてませんよ!下手したら見逃してましたよ〜」

「できれば見られたくなくて……。恥ずかしいですし」

「流理、お前アピールって何すんの?」

「それなんだよ。困ってるんだ」

「歌ではどうでしょう?」

「アカペラ?CDないし」

「誰か持ってたりしないよな、やっぱ」

「放送室とかは?」

「それです!」

オレは慌ててケータイを取り出し、委員長に電話をした。

委員長は放送部員って聞いたことがある。

頼む!早く出てくれ!

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