《MUMEI》

朝を乗り切って、授業が始まった。


1限目、生物。

まっすーの、



「…えーっとぉ〜、じゃ、この問題の答え―…、みつる答えろ」



という言葉に、



「…なんで!?」



答える椎名くん。



「…なんでって…なんで??」



どこからどう見ても『蓬田要』な椎名くんに、訝しげな表情で聞き返すまっすー。


椎名くんは、しまった、という顔をすると、



「…やー…なんとなく、気になって…」



苦しい言い訳をした。



「…へえ??―…まあねえ、みつるはこの前の点数が鬼のようにやばかったからね。それでだよ」


「…そっすか…」



理由を説明するまっすーに、若干肩を落し気味の椎名くん。


おかしなやり取りの後、



「…で??みつる、答えはー??」



まっすーが、私に目を向けた。

私は立ち上がると、



「…はい。―…12.8μmです」



と、答えた。
生物は、すごく得意な教科だ。

すると、周りからどよめきが起こる。



「どーしたんだよ、みつる!!」



瀬田くんの声。



「…え、どうしたって…??」


「お前がちゃんと答えるなんて、絶対おかしーぜ!?」


「えぇ!?」

―…そ、そうなの!?


戸惑う私に、



「おー、みつる、座っていーぞー」



まっすーの声。


私が席に着くと、



「…まあ、純のゆーことも分かるな……正解だ。」



まっすーが、少し感心したように言った。



「…うっそ、マジ!?オレ傘持ってきてねーよー!!」



瀬田くんが叫ぶ。



「…別に雨とか降らねーから!!」



椎名くんが叫ぶ。



「…へ??なんで蓬田さん??」



首を傾げる瀬田くん。



「…えっと、ほら、天気予報は晴れって言ってたわよ??」



うふふ、と、変な笑い方をしながら誤魔化す椎名くん。


ボロボロだ…


このままじゃ、ダメだよ―…



波乱の、1限目だった。

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