《MUMEI》 「ぎんちゃーん、行かないでよ寂しいわよぉ」 「そうですよー近藤先輩いないと寂しいですよー」 恰幅のいいパートのおばさんと、俺たちより一つ下の女の子二人に泣きつかれ、もらい泣き気味な銀二はそれでも嬉しそうだ。抱きついたり縋りつかれたり、グラスがひっくり返ったりと宴の場はごちゃごちゃしている。 「ありがとうございます、俺マジでビッグになりますから!」 「そうだお前ならなれる!!」 着実に酔っ払っている主役と店長が高らかに叫び、周りから歓声があがる。 穏やかな喧騒を聞きながら、俺は緩慢にグラスを傾けていた。酒は上手いし場は盛り上がっていたが、複雑な気分を抱えたまま騒ぐ気にはならない。主役から少し離れ、周りのバイト仲間と適当に談笑しながらグラスを傾ける。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |