《MUMEI》 ◇◆◇ 「───────」 「‥‥‥‥‥‥‥」 うたた寝を始めた咲弥が寄り掛かって来たので、草薙は驚きの表情で彼女を見つめた。 声をかけようとしたのだが、既に寝息を立てている咲弥はそれに気付く気配がない。 「───どうしたんだ?」 通りかかった黒蝶が尋ねると、草薙は困惑の色を浮かべ咲弥を見る。 「ああ、寝ちまったのか」 黒蝶は咲弥を抱き上げると、寝床まで連れて行く。 そして草薙を振り返り、微笑んだ。 「ご苦労さん。後はあたしに任せな」 その言葉に、草薙は心底安堵した。 ふと夜空を見上げ、小さく息をつく。 朧げに浮かぶ、上弦の月。 その光が、妙に眩しく感じられた。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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