《MUMEI》

段ボールを開けて最初に写真立てが見えた。


佐久間と…私の知らない女の人…


もう少し中を探ると二人の写真が更に出てきた…。

「出来たぁーっ!」



佐久間の声に体がビクッとし、急いで段ボールのフタを閉めて、何事もなかったかのように座り直した。


「はい、ナシゴレン」


佐久間は満足げにお皿を私の前に並べる。


「ありがとう…」


私はナシゴレンを食べながら、さっき見た写真のことで頭が一杯だった。


「自分で作っときながら言うのもなんだけど、これ美味しいぃ〜」


めちゃくちゃ笑顔でナシゴレンを頬張る佐久間を見ながら…



写真のこと、聞いちゃおうかな…

それとも知らないフリして段ボールを目の前で開けてみようか…


なんて考えが頭の中を巡っている。


しかし、いざ行動に出ようとすると、なぜか緊張して出来ない。


「どしたの愛加?」


動きの止まっている私を、佐久間が心配そうに見る。


「愛加、もしかして……」


佐久間の眼差しが真剣になった。


それと同時に私の脈も早くなる。


まさかバレた???






「ナシゴレン嫌いなの?」

緊張した分、佐久間の間抜けな質問に腹が立ち、


「嫌いじゃないわよっ!」


そう言って私もナシゴレンを頬張った。

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