《MUMEI》 あ、思い出したら泣けそう…… 「俺、自分でわからなくなって……残ったのは恐怖だった。」 「そうなの。」 雑談でもしてるかのようにツンはあっさりしている。 「……うん。」 拍子抜けした。 「でも国雄の本心だって思ってなかったでしょ。」 「……信じたくなかったというか。 俺、案外しつこいみたいだし。」 「一途なんだよ。」 ツンが微笑みかけてくれて俺を幾分か落ち着かせてくれる。 「そうかな。」 「そうだよ。」 何でもない言葉を投げ掛け合うだけで落ち着く。 ツンの声からマイナスイオンでも出てるのかも。 喘息のとき、兄貴の声も聞いてて落ち着いた。 低音で語尾が響いてくのが好きだった。 前へ |次へ |
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