《MUMEI》

あ、思い出したら泣けそう……

「俺、自分でわからなくなって……残ったのは恐怖だった。」

「そうなの。」

雑談でもしてるかのようにツンはあっさりしている。

「……うん。」

拍子抜けした。

「でも国雄の本心だって思ってなかったでしょ。」

「……信じたくなかったというか。
俺、案外しつこいみたいだし。」

「一途なんだよ。」

ツンが微笑みかけてくれて俺を幾分か落ち着かせてくれる。

「そうかな。」

「そうだよ。」

何でもない言葉を投げ掛け合うだけで落ち着く。

ツンの声からマイナスイオンでも出てるのかも。
喘息のとき、兄貴の声も聞いてて落ち着いた。
低音で語尾が響いてくのが好きだった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫