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《MUMEI》 ◇◆◇ 「咲弥、ほら──あれ、見えるか？」 すると咲弥は徐に身体を起こした。 黒蝶は目を見張る。 「起き上がって大丈夫か？」 「うん。だいぶ気分がいいの」 まだ頬がほてっているのが些か気にはなったものの、咲弥は身体を起こせるまでに回復してきていた。 「───────」 咲弥の瞳に映るその花は、彼女を元気づけた。 「ねぇ黒蝶、熱が引いたらお庭に出てもいい？」 「ああ。だから今は少しだけ我慢な」 「うん」 咲弥は素直に頷いた。 そして、再び庭の方へと目を向ける。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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