《MUMEI》 「おーいー、いい加減泣き止めっつーの」 酔って間延びした店長の声が扉越しにでもわかった。 「あっち戻ろうぜ?英田も近藤のこと待ってるって、な?」 「‥‥ッ、や、です」 たしなめる男の言葉に重なって聞こえてきたのは、嗚咽混じりの声だった。 驚いて扉を細く開けて中をのぞくと、そこにはこちらに背を向けて俯いている茶髪男と、それを慰めている店長の姿があった。 「なおひろ、は、俺のこと、なんて、何とも思、ってない、です、よ」 引きつる喉から押し出される理解不能な言葉に、扉を開けて入ろうとすると、こちらを向いていた店長に目だけで制される。何とも思ってないってどういうことだ?ていうか何で泣いてんだコイツ?様々な疑問が飛びかう。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |