《MUMEI》

佐久間の作ってくれたナシゴレンは見た目以上に量が多く、食べ終わってからは動けなかった。


「美味しいけど多すぎ!」


私はあまりの苦しさに、ソファーにもたれた。


「張り切って作りすぎちゃった」


佐久間も私の横に座り、ソファーに寄っ掛かる。


そのまま佐久間は私の手をとり、自分の指と私の指を絡ませ合う。


私はその様子を見つめる。


そして佐久間は私にキスをして強く抱きしめた。


少し体を離して見つめ合いながら、


押し倒される…


と思いきや、


「散歩にでも行こうか」


と、佐久間が提案した。


なんだ…散歩か。


私は少し拍子抜けし、最近は佐久間から体を求められないことに気づいた。


飽きられちゃったかな…


そう思うと散歩に行くのがアホらしく思えた。


「私、もう少ししたら帰るね」

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