《MUMEI》
まともな食事
▽
同時に起きた。
つか唸りながら秀幸が起きたから目が醒めた。
「今何時?」
まだはっきりと開かない瞼を擦りながら尋ねる。
「ん…――――9時……」
「――――もうそんな時間かよ」
秀幸はずりずりと起き上がりベッドヘッドに寄りかかった。
俺も後に続いて秀幸の肩に頭を乗せる。
――カチリとライターの音、
嗅ぎ慣れた煙草の匂い。
腰に回された荒れた手の感触が俺をほっとさせる。
俺の口元に煙草があたりゆっくりと一口吸い込んだ。
最近煙草の銘柄、秀幸と同じのに変えた。
だって会えない時にこの煙に包まれるとほっとするから。
そして秀幸もいつのまにか、俺と同じ香水を使っている。
煙草を灰皿に押しつけると秀幸は顔を近づけてきた。
軟らかく唇が重なり、何度も短いキスを交す。
髪を、
耳を、
背中を探りあい最後はきつく抱きしめあった。
「今日のご予定は?」
「うん、とりあえずまともなの食いたい」
「そうだよな、ずっとジャンクだもんな〜」
俺はベッドから降りパンフレットを持って戻ってくる。
「ここで食べようか?」
「ルームサービスか?、いーけど高いぞ?
なあ、この部屋だけだって結構かかってるだろ、俺が出しちゃ駄目なのか?」
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