《MUMEI》

「私は、杉田くんから、成原さんにちゃんと打ち明けてほしかったんだけど・・・。」

百花は苦しい顔で話しを続けた。
「一度、二人で下校しただけで、上履きがなくなっていた事があって。」

光がカモフラージュになってくれてるんだ・・・。

「私が見たんだ。成原さんが百花の靴箱付近にいるところ。成原さんがヤスを好きなのは有名だったから。で、私が二人の間に入って怪しまれないようにしてるんだよね。」
あの子何故だか、私には逆らわないんだよ・・・。と光は続けた。


「奏に言わなきゃ、って思ったんだけど・・・学校内だと、成原さんがどこで聞いてるかわからないし。」

確かに・・・。
杉田くんと成原さんの会話の中で、杉田くんが私のことを『可愛い』と言ったみたいなことを話していたが、あれはたぶん、新学期に光が可愛いと言った時に、ただ単に、相槌をした時のことを言っていたのだろう。
あのあと廊下で成原さんと対面した時、明らかに感じが悪かったから・・・。
教室での会話も聞いていたのかと思うと、ちょっと怖かった。

「今は大丈夫?」

「うん。あんな騒ぎ起こして・・・さっき早退したみたいだから。」


私は自分の気持ちも正直に話そうと思っていた。
口にしたら、もう止められないだろうけれど。

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