《MUMEI》

「私も二人にちゃんと話さなきゃいけないことかあるの。・・・やっぱり、私、名波先生のことが好きみたい・・・。」

口にするとなんだか気恥ずかしくて、赤くなるのがわかる。

光が私の肩をポンとたたいた。二人とも、『分かってる。』という感じで微笑んでくれた。

今まであった事を、二人に話した。制服のこと、雨の日のこと、先生の好きな人のこと・・・

二人はとても驚いていた。本当に奏は名波先生にとって『特別』なのだろうと、あの帰り道と同じように、光は繰り返した。

『特別』かどうかは分からないけれど、運命は感じている。私が困った時に、先生が助けてくれるように、神様が見ててくれているのだと思うくらい。

私もいつか、先生を助けてあげられたらいいのに・・・無意識にそんなことを思っていた。

「奏・・・。たぶん先生の好きな人って、死んでるか遠くにいる人だと思う。」
「百花?」
突然切り出した。

「前に聞いた時、今は遠くにいるから会えないって、言ってたから・・・。」

遠く?

もしかしたら一人でオーストラリアとか、南半球のどこかの国にいるのかもしれない・・・。


「とにかく、私たちは奏の良き理解者として、応援するからさっ。」

光は笑顔でそう言ってくれた。私は強く頷いた。

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