《MUMEI》
女村 弐
この村は変だ。
「お食事、お持ちしました」
さっきの女性だ。
「すいません…お食事まで」
「いいえ、……後、夜、月が真上に来たら外へはでないでください」
何かありそうだ。
「なぁ、何でこの村は女しかいないんだ?(六)」
六が聞いた。
「………戦に出払って、夫や子を失した女が集まる村なんです、ここは。悲しみを捨てきれない女がこの村にくるんです」
けしていい話ではない。
「そうですかー……」
お供が寝息をたてはじめた。
この村は何かある。
擦れ違う女性も、さっきの女性も、まるで何かに操られている。
「六、六」
小声で呼んでみる。
「何だ?(六)」
やっぱり起きていた。
黙って行ってついてきちゃ危ない。
「はぁ、連れて行ってあげるから、狐火だして」
少し呆れてしまう。
「本当か!?(六)」
「しっー!ほら、行くよ」
そっと外へ出た。
「!!」
とっさに頭を下げた。
集団で村にいた女性達が何処かへ向かっている。あの女性がいない…。
隠れた垣根ごしに、あちらの様子を観察する。
「六、火を弱めて」
無言で六が火を弱める。宙に浮いているため、少し不気味だ。
まぁ、狐火なので当たり前か。
「ついて行こう」
「おう!(六)」
五、四、三が眠る部屋に1人の女が入ってきた。
「子がいない!!」
女は沙羅がいないのに驚いた。
「蛇々(ジャジャ)様!!「」
そう叫んで女は村外れの御堂にへ向かった。
戸が開けっ放しのため、冷風が入ってきた。
そのため、五が目を覚ました。
「お兄ちゃん?シャラ?何処?」
いない2人の名を呼んでいないを再確認すると四と三を起こした。
稲荷同士は精神反応(思念伝達)ができる。
「女を追えって言ってる…」
3人は御堂の方へ臭いをたどりながら向かった。
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