《MUMEI》

pipipipi!!pipipipi!!


アラームで起こされた。


「…ふぅ。」


土曜日の朝。


休みなのに練習とかやっぱおっくうだ。
しかもとっくに引退してんのに。


まぁぐだぐだしててもしょうがないか。


あんま人待たせんの好きじゃないし。


trurururu…trururu…


「あ、もしもし?今から行こうと思うけど、大丈夫?」


「うん。早く来て〜。」


「あいよ〜。」


車を出す。
高校時代チャリで20分かかってた道のりも車なら半分くらいの時間で着く。


便利な世の中だね。
免許取って良かった。


ヤマとはヤマの家付近のコンビニで待ち合わせしてた。


ヤマは高校卒業してから地元出て大学通ってる。
でも、ヤマの大学にはハンド部がないんだと。


だから帰って来た時には、僕の入ってる社会人のチームに練習に来たがる。


もちろん、それは構わないんだけど、高校に練習行きたいってのはやっぱ賛成できないな。


「お〜っす。久しぶり〜。」


「よっす。早く行こ〜よ!!」


「ちょ待って。ジュースとタバコ買いたい。」


「クロタバコ吸ってたっけか?」


「ん〜、最近ちょっとね。」


練習中に飲むスポーツドリンクと、パンと牛乳。あとタバコ買って出発。


「クロ火貸して。」


「ん。」


ん?


「あれ?ヤマもタバコ吸い始めたの?」


「うん。俺も最近ちょっとね。」


「ふ〜ん。」


なんとなくヤマがタバコ吸うのは嫌だったけど、言える立場じゃなかったから言わなかった。


たぶんヤマも僕に対して同じこと思ってたと思う。

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