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《MUMEI》 ◇◆◇ 夜が明け、辰の刻を過ぎた頃。 「黒蝶」 「ん？」 「何だか嬉しそう」 「そうか？」 「うん」 咲弥は黒蝶に髪を梳いてもらいながら頷いた。 黒蝶は時折苦笑している。 「どうしたの？」 「ん？──いや、何かさ、変わらないもんだな‥って」 「？」 「あいつ、昔からああなんだよな───」 「ふふっ‥」 「どうした？」 「あ‥ごめんなさい。でも──黒蝶のお話は楽しくて」 すると黒蝶は梳く手を止め、小さく一つ息をついた。 「よし、これで完璧だ」 「ありがとう」 咲弥はにっこりと微笑んだ。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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