《MUMEI》

――――僕は最低の男だ……。



灯りを落としたリッツの部屋に、僕の声だけが虚しく響く――…



「ごめん……いま、仕事が忙しくて…


――そうじゃないょ……。

――…うん…その話は日本に帰ってから、また…


――…愛してるよ…


―うん…それじゃあ…また連絡するよ…


――…あぁ……おやすみ…」



僕は多忙を理由に、結論を先伸ばしにしてしまった――……。


通話を切る間際――…


彼女は、電話の向こうで確かに泣いていた……。



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