《MUMEI》 (そ、そうか) 雅彦は、私の発言を、『そんな事ない、このスニーカーでいい』という事にして、この場を乗り切るつもりなのだ。 「お願い、します」 「はい」 雅彦は、無言で私のスニーカーの履き替えを行った。 この日、私は 雅彦の嘘で、俊彦に誕生日プレゼントをもらっていた事を知り 雅彦の機転で、何とか『シューズクラブ』から無事に帰って来れた。 (成長してるんだなあ、雅彦も) 帰り道、そんな事を考えながら、私は電動自転車をこいでいた。 昼間、『クローバー』で雅彦の弁当を作る時、私はこっそり、ヒレカツを一切れ追加しておいた。 …こっそり、お礼と、成長のお祝いを兼ねて。 前へ |次へ |
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