《MUMEI》

いつもはリナ先輩達と行くランチも、今日は一人になりたくて断り、少し離れた店に入った。


そして例の手紙とメールのことを考えていた。



私の住所と仕事のメールアドレス、そして佐久間のことも知っている人物…


佐久間を知っている人物は友達関係しかいない…


でも誰が?




もしくは佐久間の知り合いが私のことを調べた?




知らない人物に調べられていると想像するだけで、不気味さで怖くなった。


一体、誰がなんのために…


「佐藤さんじゃん!?」


突然、目の前に上原が現れた。


「今日はリナ先輩達とランチじゃないの?」


「あぁ…ちょっと…」


「ケンカ?」


上原が心配そうに聞く。


「違いますよっ!!」


私は焦って否定した。


「なら良かった。食が進んでないみたいだし、何か悩んでるのかと思った」


たしかに私は目の前のランチにほとんど手をつけていなかった。


「私、食べるの遅いから。急いで食べないと昼休み終わっちゃいますねっ」


そして私はランチを口の中に無理やり詰め込んで店を出た。

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