《MUMEI》

私が先に反応したのは、罰ゲームの方だった。


薫子さんは頷き、続けた。

「ちなみに、罰ゲームは去年からでね。
特典の旅行の企画は、商店街に好きな人や苦手な人がいたり、行きたい場所がある人には魅力的だけど、そうじゃない人は、明らかに手抜きの人がいてね。
だから、ビリには罰ゲームを作ったの」


「去年の罰ゲームって、誰だったんですか?」


「克也よ。…孝太君も微妙だったけどね」


薫子さんはチラッと琴子を見た。


琴子は『何となくわかります』と言って、苦笑した。

「でも、克也さんて、『恥ずかしい写真』って、無いんじゃないですか?」


私の中の克也さんのイメージは、『いつも頼りになる、優しいお兄さん』だった。


「いくらでもあるわよ」


私の言葉に薫子さんはクスクス笑いながら、写真を見せた。


「こ、これ、…」


「ね? あるでしょう?」


そこに写っていたのは


薫子さんが春に着ていた


桜色の着物を無理矢理着た克也さんだった。


(これは…恥ずかしいな)


「でも、これ、どうやって?」


「うちに泊まった時に、こっそりとね。

…気付いてるでしょう?私と克也の事」


「あ…はい」

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫