《MUMEI》

太一に連れられて来た店の中を眺めながら、


「ここ、良いじゃない。いつの間に見つけたの?」


と、私が聞くと、


「この間、会社の先輩の結婚式の二次会がここであったんだ、それでどうかなって…。」


と、太一はすぐに答えた。


津田沼の女と来ている店かと疑っていた私は、それを聞いて少し安心をした。


「時間もないし、ここで決めちゃいましょ」


そして太一が店長を呼び、二次会で貸し切りたい旨を交渉し、店は決まった。




「さて、二次会で何をするかだけど…愛加、何かいい案ない?」


「ビンゴとか?」


それしか思い付かない…


「ビンゴかぁ…」


太一は腕を組んで、考え込んでいる。


「和さんと美幸の結婚式だし、あっと驚くようなことしたいけど……考える時間もないしなぁ」


「たしかに何かしてあげたいわよね…」


と、私も考え始めた途端、


「ビンゴにしよう!」


と、太一が言った。

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