《MUMEI》 結果歌い終わると、拍手がオレを包んでくれた。 緊張がどっと抜けていった。 汗も止まらないし、顔が赤くなってるのが自分でもわかる。 「……これ、投票の意味なくね?」 「流理さん素敵……」 「おーい?ちょっと聞いてんのか?」 「ではこれから投票に移りたいと思います!自分が1番『いい!』と思ったイケメンに投票してください。投票時間は今日いっぱいです!いいですか?同じ人がひとりの人に何度も投票することは禁止です。皆さんモラルに欠けた行動は慎んでください。明日の文化祭最終日のこの時間に発表です!!」 「明日楽しみだなー。流理がミスター光岳になるってことは、オレもミスター光岳ってことだよな」 「まだそうとは決まってないよ」 「決まってる!絶対お前はミスター光岳だから」 ……残念なことだが、有理の予言は見事的中した。 「ありがとう!谷口〜……。2年3組が優勝できたのも、すべて谷口のおかげだ!!」 「ち…っ違うよ!オレだけじゃないよ。みんなでこの店を一から作って、みんなで売っていったからだよ。オレはただ、派手な目立つ役目を受けただけだ。だから……この優勝はみんなで勝ち取ったものだよ。オレだけのおかげな訳ないんだ」 とりあえず、オレの必死さが伝わって、そういうことで収めてくれた。 「永井さんっお疲れ」 「あ……うん。お疲れ様、谷口」 なんだか永井さんの元気が無い。 それはずっと気になっていたけど、今までなかなか永井さんゆっくり話せなかった。 「…元気無いね。疲れた?……とかじゃなさそうだな」 永井さんはハッと顔を上げた。そしてオレの顔をじっと見つめて……。 前へ |次へ |
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