《MUMEI》 ◇◆◇ 秋の夜長。 満ちた月が煌々と照らす。 「───────」 咲弥と草薙、黒蝶は、それを眺めていた。 「綺麗‥」 「ああ、少し‥冷えるけどな」 「寒い?」 「いや、大丈夫だけど」 「‥‥‥あまり意地を通すと風邪をひくぞ」 「心配すんなよ。身体は丈夫だからさ」 黒蝶はにかっと笑う。 「お、風が止んだな」 先程まで吹いていたぴたりと止んでいる。 虫達が、一際高らかに歌い出した。 零れる光が、滴のように降り注ぐ。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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