《MUMEI》
女村 参
「どこに行く気なんだろ。…あ、六、五に通じた?」


「おう、多分もう向かってると思うな」


多くの女が向かったのは広い湖だった。


「何ここ……」


湖が黒い!?
固まった女の群れから、黒い塊が出てくる。


「何だあれ!?(六)」あれは……。


"戦に出払って、夫や子を失った女が集まる村なんです¨


「…心の闇を喰らってるんだ……」


霊視で目をこらして湖を眺めた。


湖の中に何かいる。


「っ………来る!」
「え゛(六)」


構えて待ち構えようとした。


「ダメだっ六!!逃げて!!僕が時間稼…っ」


湖の黒い水が波となりこちらに来る。
触れれば明らかにヤバいと思う。


言霊を使うか…。


『水よ、引き下がれ』


ぐい


「ちょっ…六?」


袖を引っ張って、必死に何かを伝えようとしている。……前?


「ううわぁ!!魚?!キ、キキモ」


大魚だ。
コイツがさっきの黒い塊を飲んだんだろう。


「沙羅、五が…あいつらが」


声が震えてる。
直感力が教えてくれた。

「違う……術者がいる。五の方にいる!」


走ってそちらへ向かう。

走ると耳に風を感じる。耳の装飾具はピアスで、玉が3つずつ縦に並び、

真ん中の空いた円の中に薄い紙のような黒に塗られた銀が入っていて風で回るようになっていて、

その円の次にまた3つ玉がある。


それは嫌な風を感じさせていた。


五、四、三!!


今……行くから
だから…………お願い。無事でいて!!


大切なものは失いたくない
あの時決めた。


僕はもう、過ちを犯さない。



決意したんだ。

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