《MUMEI》

「予想通りの展開ですね、愛理さん」


「そうですね。和馬選手は中学時代陸上部だったそうですから」


麗子さんの解説に、私が『そうなの?』と確認すると、琴子は無言で頷いた。


「問題は、ここからね」


薫子さんの言葉通り、パンの前で和馬が悩んでいた。

「さぁ〜!ここからが、問題です!
今年はカレーパンを用意しましたが…
辛さは四段階!
甘口・中辛・辛口
そして一つだけ、超!激辛カレーパンがあります!
パンは『くわえて』では無くて、『完食』してからゴールして下さい」


結子さんの説明に、私と琴子は薫子さんを見た。


「克也は、どんなパンでも完食できるわよ」


薫子さんが言うように、後からきた克也さんは、躊躇いなく一番近くにあるカレーパンを手にした。


「おっと、これは逆転か?」


「克也選手は好き嫌いありませんしね」


麗子さんの解説が入った。

「その上、体格的に有利です」


愛理さんが言うように、大柄な克也さんにかかると、カレーパンはおやつにもならなそうだった。


「和馬選手も選びました!」


克也さんが食べ始めたのを見て、和馬も一番端のパンを選んで一口食べた。


パクッ

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