《MUMEI》 「おぉ?和馬選手、固まりました。これはまさか…」 「…甘口だわ。和馬、辛いの好きだから」 琴子が言うと同時に、和馬の隣の… 圭介さんが、声にならないほどの辛さを訴えた。 「当たりは圭介選手です!」 結子さんが声を張り上げた。 「和馬選手が当たりだと思って油断していた分、辛そうですね」 麗子さんは冷静に解説した。 「…ちなみに、圭介選手は超甘党です。可哀想に」 愛理さんは同情しながらの解説だった。 「先頭は、克也選手!和馬選手も追い上げます!」 「「頑張れ!」」 琴子と薫子さんが叫んだ。 …それで、勝負は決まった。 克也さんは真っ直ぐ前を見ていたのに 和馬はチラッと琴子を見て、笑ったのだ。 その僅かな差で、和馬は負けた。 「…もうちょっとだったのに」 「ごめんごめん。琴子が可愛くて、つい」 和馬はゴールした後、すぐに琴子の前に来て謝った。 「何となく、負けた気分」 それを見ていた薫子さんは、小さな声で呟いた。 こんな風に、競技は身体能力だけでなく、知力や運も必要とする物が続いた。 午前中の競技が終了した時点でトップは俊彦だった。 前へ |次へ |
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