《MUMEI》 昼休み「このまま勝つからね〜、旅行、どこ行きたい? 温泉? あ、プールのある所にしようね!」 「何で…」 「ん?」 俊彦が少し傾くと、すぐに私の肩と俊彦の肩が触れた。 「何で一緒に食べてるの?!」 「え〜、俺と蝶子の…おっと」 俊彦は、注目している『シューズクラブ』のファン達に聞こえるように言った。 「『クローバー』と『シューズクラブ』の仲じゃないですか」 その言葉通り 工藤一家と私と 『シューズクラブ』の四人と琴子は 一緒にお昼を食べていた。 「賑やかね、ここは」 「瞳さん」 寄りかかる俊彦を押し退けながら、私は瞳さんを見上げた。 「蝶子、ちょっといい?」 「はい」 私はすぐに立ち上がった。 瞳さんと一緒に、商店街から住宅街に続く細い脇道に入る。 「あの…?」 「蝶子、気付いてる? ファンの子達の視線」 (それは、痛いほど…) 私は深く頷いた。 「別に、俊彦と蝶子が仲良くするのは私的には問題無いんだけどね。 …一応、『これ』あげるから、困ったら、使いなさいね」 そう言って、瞳さんは私に俊彦の『恥ずかしい写真』を渡した。 前へ |次へ |
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