《MUMEI》

「…どう使うんですか?」

「あのね………」


「はぁ…」


(そんなの今流行ってるんだ)


「で……ていうことにして」


「無理ありません?」


私が首を傾げると、瞳さんは『そんな事無いわよ』と力説した。


「とにかく、はい。あ、そうだ」


?


瞳さんはニヤリと笑った。

そして


男性陣の『恥ずかしい写真』をこっそり私に見せてくれた。


(うわっ…)


酒を飲んで倒れた雅彦


女物の浴衣を着た祐介さん

全身タイツで踊る和馬


バケツを持って店の裏で立たされている勇さん


ホースの水を自分にかけて、ずぶ濡れの春樹さん


(どれも、すごいな)


「今年は焼き増しして、各店舗に貼ってもらうつもり」


(それは…必死になるよな)

私は男性陣に同情した。


そして


最後の一枚を見て、私は驚いた。


「あ、それ、孝太君」


「…これ、が?」


「やっぱり驚くわよね」


瞳さんが言う通り、私は驚いていた。


「今と全然違うものね」


「…そうですね」


写真の中の孝太は、まるで別人だった。


私は瞳さんと別れた後、孝太を呼び出した。

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