《MUMEI》

「で、太一とはどうなの?」


千夏が探りの電話をかけてきた。


「どうって・・・二次会の打ち合わせをするために会っただけだよ」


「それだけ?」


千夏が何か知らないが怪しんでいる。


「それだけ?って他に何があるのよ!?」


「それは私にも分からないわ」


千夏はまだ何か言いたげな様子だ。




「あ!そういえば例の津田沼の女は従妹なんだって」


とりあえず、そのことは報告しようと思っていた。


「従妹???なぁーんだ、そうなの。なんだか拍子抜けしちゃうわね」


千夏がつまらなさそうに言うので、


「私も気がぬけちゃって、太一と二人で当分大笑いしてたわ!」


と言ったら、


「太一は愛加のことまだ好きなのかしら?」


と、千夏の意味不明な詮索が再開した。


「違うみたいよ。知らない子とやるより、私と準備する方が気が楽なんだって」


「聞いたの!?!?」


千夏が驚いている。


「聞いたわよ」


「なんで!?!?」


また驚いている。


「なんでって・・・なんでかなって思ったから」


「それは私も思ったわ」


千夏がなぜか納得する。




そして少しの間を置いて、


「ところで佐久間さんは知ってるの?二次会のこと」


と、今度は本題に突入してしまった。

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