《MUMEI》 無口な僕の様子を、旅の疲れと思い気遣ってくれたのか――… 堀川は、黙ってハンドルを握っていた。 僕は、そんな堀川の計らいに無言で感謝しながら、何日か前の出来事を省みていた――…。 10日前のカオリちゃんとの国際電話の後――… 彼女とは一切連絡をとっていなかった…。 けして重荷から逃げたわけじゃない…。 今回のM&Aには、我が社の命運が賭かっていた。 僕自身のプライベートな悩み事に構っている暇など無かったのだ…。 ―――…そう自分を騙すことで、僕は現実から逃れていたのだろう…。 前へ |次へ |
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