《MUMEI》

「おばちゃん、俺、行ってみよわい。四国一周」

「えぇっ…本当に行くんで?」
少し、驚いていたが笑顔で「あと20分位でフェリーがくるけん、それに乗ったらええわい」

「いや、ツーリングやけん、しまなみ海道走って行くよ。」

「あぁ、それがええわい。」

俺はバイクに跨りメットを被りグローブをはめていると、おばちゃんが小走りで走ってきた。

「一応、これ持って行き」
手渡されたのは、四国の簡易マップだった。

「ありがとう、助かるわ。」
それをポケットにしまい。ギアを一速に入れる。

「気を付けて行きよ」
俺は頷き、バイクを走らせた。

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