《MUMEI》

私も先生の方を、チラリと見た・・・。


先生はうつろげな表情で、ソラを食い入るように見ていた。

「先生?」
あまりにも不自然だったので、心配になり、先生の腕を掴んだ。

「君は誰?」

「あ、奏の友達の橋本想良と言います。先程は変な質問ばかりして、すいませんでした。」

ソラは礼儀正しくお辞儀をした。育ちが良いからか、挨拶する姿も品がある。

「はしもと・・・」

先生は聞こえるか、聞こえないかの声でそう呟いた。
「先生?どうしたの?」
私はもう一度問い掛けた。・・・まるで私の存在に気付いていないように、ソラだけを見ている。

「いや。楽しんで。」

それだけ言い残して、先生は教室を出た。

「なに?あの先生?私が変な質問ばっかりしたから、怒ったのかな?」


そうなのかな?そんなことで怒るかな?機嫌が悪くなることは頻繁にあるけれども、明らかに私の友達に『君は誰?』なんて聞き方はしないだろうと思う。

なんだろう・・・。

不安な気持ちが胸を過ぎった。

「ねぇ、ソラさっきのカノープスって何?」

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