《MUMEI》

実際に、ものすごく美味しかったお弁当を食べ終えて、辺りを見回すと、


椎名くんとお弁当を食べていた、祥ちゃんと目が合った。


祥ちゃんは、私に小さく微笑むと、視線を戻した。



「う〜ん…やっぱ決め難いな―…」



横から、瀬田くんが口を挟む。



「決め難いって、何を…??」



気になって問うと、



「え??…そりゃあ、3組の美女No.1のことだろ」



当然のように返される。



「タイプが違うんだよなぁ…、青木は、『マドンナ』って感じで、
蓬田さんは、『アイドル』って感じ。―…ま、お前に言っても分かんねーだろーけど!!
空手バカだもんな、………結構もてんのによ!!」


むかつく、と笑いながら私の頭を軽く小突く瀬田くん。


…私は瀬田くんの言葉に、ただただ驚いていた。



私が祥ちゃんとNo.1争い!?

―…あり得ないよ!!!


祥ちゃんは、美人で大人っぽくて、頭良くて、スポーツ万能で…


…祥ちゃんが月なら、私なんかスッポンにも及ばないよ!!


そういう意味を込めて、



「祥ちゃんが、1位に決まってるよ!!」



と、瀬田くんに告げる。


瀬田くんは目を丸くして、



「祥ちゃん…て、青木のこと…??―…え?え、お前いつから」



と、身を乗り出してきた。

…あれ?やばかった!?

自分の失言に気づく。



「や、あの…そんなんじゃなく!―…一般的に言って、ほら」


「へ〜え??」



慌てて弁明するも、逆効果だったのか、にやける瀬田くん。



「…ま、何か進展あったら知らせろ、な??」


「…ち、ちが」



私の言葉は無視で、ぽんぽんと私の肩を叩く瀬田くん。



違う――!!


…ごめん、椎名くん…!!!

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