《MUMEI》
お兄ちゃんと遊園地。
はるちゃんが遊園地のチケットを俺に見せてきた。

どうやら先生のお手伝いをして貰ったんだって。


「どうしよっか、明日でもいいよ」
「俺も、それでいいぜ」

そういうことで、明日の日曜日に行く事になった。

俺はドキドキして眠れなかったけど、はるちゃんが抱っこしてくれたから、ポカポカ暖かくていつの間にか眠っちゃっていた。





「はるちゃん、服どれがいいかな?」
「こっちがいいんじゃねぇ?」

はるちゃんが選んでくれたのは、ボーイッシュな女の子の変装をする時の服だった。

「うん、分かった///」

まだ声変わりのしていない俺は、小学生か女の子に間違われる事があって、面白いからたまにその格好で街に出て遊んだりしている。

女の子の格好をして女の子のフリをしていると、おじさんに声をかけられたり電車で痴漢されたり…危険な事もいっぱいあるけど、面白い事もいっぱいある。

近くにある女子校の友達もいっぱい出来たし、みんな優しくしてくれるから女の子の格好をするのは楽しいんだ。




今日ははるちゃんと僕で、男の子と女の子デート。


外を歩く時も、電車に乗る時も、ずっと手を繋いでくれていた。


「はるちゃん、今度はコレ乗ろう♪」
「お前ふざけんなι…さっきもジェットコースターだったろι」
「さっきのは早い方だけど、こっちは回る方なの〜」

僕はジェットコースターが好きだけど、はるちゃんはそういうのは苦手らしくってフラフラになっていた。

自分は走るのが早いくせに…。


「じゃあ、こっちに行く?」


そう言って指さしたのは病院を舞台にしたお化け屋敷。


「い…いいぜ、お前こそいいのかよ」
「うん♪はるちゃんと一緒なら」




俺ははるちゃんの手を握ると、そのお化け屋敷に入って行った。

いつもよりぴったりとくっついて「恐いかも…」とか言ってみたりして甘えてみたけど、はるちゃんは「こんなの大丈夫だぜ、こんなの…」とか言いながら、いつもより強い力でギュッと僕の手を握っていた。

「おい、早く来いよ…」
「待ってよ〜はるちゃん」

この暗い空間にはるちゃんと二人きりで居られるから、もっと楽しみたくて俺はゆっくり歩くけど、はるちゃんは早く出たいみたいで早めに歩いていた。

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