《MUMEI》

私の部屋でくつろいでテレビを見ている佐久間を見ていると、例の手紙やメールの件を思い出した。




言うべき・・・・・・?


それとも、


まだ言わない方がいい?


中途半端に言って心配かけるのも嫌だし・・・


そんなことを悩んでいると、


「どうしたの?俺のことじーっと見て。もしかして見とれてた?」


「見てないわよ!たまたまそっちの方向だっただけ!勘違いしないで」


フンッと別の方向を見た。


しかし例の件をまた考え始める。


「ねぇ・・・」


「ん?」


佐久間は穏やかな顔で私を見る。


「ううん。なんでもない」


「なんだよぉ〜気になるだろぉ〜言えよぉ〜」


佐久間は私の腕を揺らしながら「教えて」と何度もせがむ。


「しつこいっ!!」


私が腕を振り払って言うと


「自分から声掛けたくせに。ケチ」


と、スネてしまった。




こんな人が誰かに恨まれるかしら・・・
嫌われても恨まれはしないわよね・・・


なんて失礼な理由で自分の中の葛藤に決着をつけた。


もう考えるのはよそう。

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