《MUMEI》
ぼくのおにいちゃん。
何でも出来ちゃうお兄ちゃん。


それが俺のはるちゃん。



双子なのに俺より背が高くって。


かけっこをしても、追いつかなくて。


勉強をしても、当たり前だけど追いつかなくて。


いつも俺の前を走ってく、はるちゃん。




小学生の頃、一緒にノルマンディーに海水浴に行った時、岩の陰で初めてキスをしてくれた。


その時はよく分からなかったけど、胸にポワンと温かいものがあったのが覚えてる。


中学生の頃、人の居ない学校の帰り道で俺の事を抱きしめて「大好きだ!」って言ってくれた時はすっごく嬉しかった。


足の遅い、ダメな俺に手を差し伸べてくれたみたいで…。



俺の為にお菓子だって作ってくれるけど、俺のお腹がプニュプニュしてるって言って触ってくる。


俺とキスすると「甘っ…ちゃんと歯、磨けよ…」と言ってくる。


俺の嫌いな野菜をあげると、2倍にして俺の皿に盛ってくる。


宿題を手伝ってくれるけど、最後の答えだけ書いてくれない。


でも知ってるんだ…俺が先に寝ちゃった時に、こっそり俺にイタズラしてる事。


くすぐったい夢を見て目を覚ますと、俺のパジャマの中に手を入れて、まるで猫を撫でるように触れてくる。


それが凄くくすぐったいけど、でもはるちゃんの手はウットリするぐらいとっても気持ち良くて、俺は猫みたいにふにゃふにゃになって、されるがままに弄ばれる。

そうすると、今度はそこに柔らかい唇で触れてきて、俺はびっくりしたけどやっぱり気持ち良くって…いつの間にか寝ちゃってた。



次の日、昨日の事は夢だったのかな?と思ったけど、はるちゃんはそういう時はいつもお腹の目立たない所にキスマークを残していっている。


ひっそりと主張するはるちゃんのキスマーク。


それにそっと触れると、控えめなはるちゃんの愛情に心の中がほんわかした。

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