《MUMEI》 疑念太一じゃないと否定しながらも、状況は太一が犯人だと言っているような気がした。 「おはよ。佐藤さん」 出勤途中に後ろから声をかけられた。 「あ、上原さん。おはようございます・・・」 太一のことを思うと誰とも話したくなかった。 「どうしたの?元気ないじゃん・・・」 上原は私と並んで歩きながら聞いてくる。 「あぁ・・・別になんでもないんです・・・」 「この間のお昼も暗い顔してたけど・・・」 放っておいて欲しいんだけどな・・・ 「何かあるんならため込まずに相談しろよ!聞くだけならできるからさ」 上原は良かれと思って言ってくれているのだろうが、私にしてみれば鬱陶しいだけだった。 「本当になんでもないんです。大丈夫ですから・・・」 「本当に?」 上原は本当にしつこく聞いてきた。 「本当に大丈夫です!」 私は精一杯作り笑顔をして上原に言った。 前へ |次へ |
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