《MUMEI》

ついに第四土曜日がやってきた。


「今から向かうね」


家を出る前に太一に電話をした。


気分は乗らないが準備はしなければならない。


太一じゃないわよ!


何度も何度も繰り返し強く思い太一の家へ向かった。




駅を降り、マンションに近づくにつれ足取りが重くなる。


この角を曲がれば太一のマンション・・・


角を曲がるとマンションの前に佐久間の車が止まっているのが見え、思わず角に隠れた。


やばっ!!!佐久間さん今から出かけるんだ・・・


もぉーっ、なんてタイミングが悪いのよ。


そして、そっと角から顔を出し様子をうかがう。


あれ・・・?


佐久間の車をよく見ると助手席に女性が座っている。


あの人・・・


助手席に座っているのは佐久間の部屋で見つけた写真の女性に見える。


じっと車を見ていると、駆け足で佐久間がマンションから出てきて車に乗り込んだ。


そして満面の笑みで女性と話しながら車を出し、行ってしまった。





『ごめん・・・この日はちょっと・・・』




ふと佐久間に断られた言葉を思い出した。




なんだ・・・そういうこと。


彼女いるんじゃない・・・

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