《MUMEI》

「じゃぁ愛加はこれを袋に詰めていって」


太一に言われた通りに私は黙々と作業する。


「なんか・・・元気ない?」


太一が顔を覗き込んできた。


「やだっ、急にびっくりするじゃない!」


「いや・・・元気ないなぁと思って・・・」


私は太一が犯人かもしれないと疑っていることや、佐久間と彼女を見かけたことで憂鬱だった。


「ちょっと疲れてるの」


「忙しいの?仕事」


太一は淡々と自分の作業を進めながら聞いてくる。


「ぼちぼちかな・・・」


私も気を紛らわすために作業を進める。


「ちょっと休憩しようぜ!美味しいコーヒー買ったんだ。飲むだろ?」


太一は私の返事も聞かずにコーヒーを準備している。


そんな太一を見ながら、


太一は犯人?
何のために?


と、自問自答を繰り返す。


「愛加はミルクだよね?」


そう言いながら太一は私のコーヒーに牛乳を注ぐ。


「はい」


コーヒーを渡され、


「ありがと」


一口飲んで、すぐにテーブルに置いた。


そして私は賭けに出た。


「最近・・・変な手紙やメールが来るの・・・」

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