《MUMEI》




着信音に起こされる男がいた。


「…」


目はつむり、顔も上げず、音のなる方へただただ手を伸ばしていた。


(誰だ?)


ようやく掴んだ携帯を手にとり、まだちゃんと起きていないながらもメールを開いた。


『久しぶり〜。明日さ。試合やるんだけど、ヒマだったらきて〜。あ!!ヤマも来るよ( ̄ー ̄)v』


…クロさん?


「試合かぁ…」


明日の予定はない。
今日は6時からバイトがあるけど。
つか今何時だ?


携帯の画面右上に表示されている時間を見る。


14:30。


まだこんな時間か…
もうちょい寝れたのに。


ようやく頭が起きてきた。


「…つ〜か、時間と場所と相手書いてないじゃん。」


ま。クロさんらしいと言えばクロさんらしいかな。


ヤマトさんも来んのか。
あの人こっち出たんじゃないっけ?


…春休み?
そういや、大学って春休み長いんだっけか。


『久しぶりです。明日はヒマっすよ!!久しぶりに先輩たちと会いたいですし、行きたいんで、時間と場所教えてもらえます?あ、あと対戦相手も。』


あ〜、起きたら腹減ってきた。
ラーメンでも食お。


作んのめんどいし。


「一人暮らしも楽じゃないよな。」


お湯を沸かしながら愚痴をこぼした。


来週卒業式を控えた俺は、一人暮らしをしていた。


たぶん卒業式に両親は来ない。


離婚してるし。
勝手言っての一人暮らしだし。


3分待ってる間にメールが来た。


『9時に赤高集合!!相手は、赤高ハンド部!!』


あいつらと?
今のあいつらとやっても余裕勝ちが見えてるじゃん。


8人しかいない、ほとんど未経験者。


あ、クロさん知らないのか。


まぁいいや。
先輩たちと会いたいし行こ。

『了解!!では明日。』

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