《MUMEI》 ◇◆◇ 日が暮れてしまうと、辺りはすっぽりと闇に包まれた。 月は雲に隠れてしまい、見えない。 降り積もった雪だけが、朧に辺りを照らしている。 静かだ。 日記を綴ろうと思い、咲弥は文机に向かう。 だがふと庭へと視線を戻した。 もう少し眺めてからにしよう。 咲弥は格子を上げた。 「───────」 のんびりと雪見に興ずるのもまた、冬の少ない楽しみの一つなのである。 ◇◆◇ 前へ |次へ |
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