《MUMEI》

椎名くんは、体育にだけは出て欲しいと言う。



「おれだって、体育以外は全部苦手だよ!!」



…そりゃ、出てあげたいけど、でも―…!!



「…でも、無理だもん!!」



男子の中で着替えなんて―…!!




「…頼む、受けろ!!」



すでに頼む口調じゃない椎名くん。


私が布団にくるまったまま黙っていると、



ギシ、


椎名くんが立ち上がる気配。



…諦めて、くれた―…??


そろそろと布団から顔を出そうとすると、



「!?…きゃ…!!」



ば、と、いきなり布団を引き剥がされ、


…椎名くんが馬乗りになった。


私の両手首を片手で押さえる。



…こ、この体勢って…



「…おれの弱点は、おれが一番知ってんだ」



椎名くんが『私』の顔で、にやり、と笑った。

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