《MUMEI》
秘密 〈おれ〉
昨日から思っていたことだった。


秘密―…にしてたって、問題は解決しないように思えた。



「…分かってくれる、人―…??」



蓬田は、イマイチ分かっていないようだった。



「…だから、秘密にしてたってさ、なんの手懸りも掴めねーじゃん。
一人くらい、理解者がいねーと…」



おれが言うと、



「…でも、誰に言えばいいの??
―…ママ?パパ??それとも友達??……誰も、信じてくれないよ…」



そう言って、俯く蓬田。



「…まあ、それは―…そうかも、しんねーけど…」


「…仮に、信じてくれたとして…
解決策が得られるとは限らないし」



―…やっぱ、そうだよな…



中身が入れ替わったんです―…、なんて言ったって、


笑って済まされるか、変な目で見られるだけだろう。



「…悪かった。今言ったこと、忘れて。
―…教室、戻るか」



おれは、そう言って立ち上がった。



蓬田も、遅れて立ち上がる。



シャ、


おれがカーテンを開けると、


誰も居なかったはずのデスクの前には―…




「…あら、もういいの??」



ペンを指先でくるくると回しながら、にっこりと微笑む…




―…白衣をはおった美女が、いた。

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