《MUMEI》
引き渡し
「『話しかけないで』って言ったのは、蝶子が嫌いだからじゃないの」


夜道を歩きながら、麗子さんは私に向かって淡々と話を続けた。


私は、ただ頷きながら、それを聞いていた。


「醜い嫉妬や、単なるやつあたりをする自分が

蝶子を傷付ける自分が嫌だったの。

だから、近付いてほしくなくて言ったの。

結局、孝太が暴走したから自分から近付いたけどね」

「そのおかげで助かりました」


私が口を開くと、麗子さんは苦笑した。


「やっぱり蝶子は可愛いわ」


麗子さんは明るい口調で言った後


「だから、心配よ」


と続けた。


「蝶子は意外と無防備だし。
まだ、…トラウマ克服できてないみたいだし」


『トラウマ』


麗子さんのその言葉に私は反応した。


確かに、私は足を触られただけで未だに動けなくなる。


(もし、麗子さんが来なかったら…)


考えただけで、私はゾッとした。


「本当は、恋人がいればいいんだけどね。

…俊彦とか」


「それは…」


「二人が両想いなの、見ててバレバレなんだけどな」

麗子さんの言葉に、私は何も言い返せなかった。


「…というわけで」


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