《MUMEI》

「小太郎。」


「なんでしょ?」


「30分ゲームでいいか?」


高校ハンドボールは30分ハーフのゲーム。


つまり前後半合わせて1時間ってわけ。


社会人リーグは20分ハーフ。
前後半合わせて40分のルールでやってる。


「いいですよ。」


「わかった。アップはもういいか?」


「はい。もう始めれます。」


「じゃ、始めるか。」


「はい。」


先生がユキヒロたちを集める。
スタメンと作戦を伝えてるんだろう。


「んでクロ。俺たちの作戦は?」


「ない。」


「いいのか?」


「正確にはいらない。普通にやるだけで十分勝てるよ。」


「…」


(クロさん何考えてんだ?)


翔太は疑問に思っていた。


勝つのがわかっている。
今の赤高とやっても海南クラブなら問題なく勝つだろう。


その試合をわざわざ自分たちからやろうと言い出したこと。


海南クラブには何のメリットもないのに。


「翔太!!」


「あ、なんすか?」


「センター任せた。」


「はい。」

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