《MUMEI》

「最初は、女子高生の声がうるさくて気になって、それから、足の形や歩き方が『変』なのが気になったらしいよ」


「『変』?」


「最近の子は、O脚やX脚が結構いるし、猫背だったりするし、かかと潰して靴履いてたりするからね。

そういうの、孝太は特に気にするから。

お互い、足や靴の話で結構意気投合したんだ」


「そう、だったの…」


孝太は口数が少なくて、私は過去の先入観から『二人は変態』だと決めつけていた。


「仕方ないよ。
孝太は無口だし。
和馬に…『幼なじみに知り合った男と足の話で盛り上がったと言ったら変態扱いされた』って言ってたし。
おまけに、和馬から『そんなに足が気になるのか?』って訊かれて頷いたら、『お前、足フェチだったんだな』って言われて



『俺は足フェチらしい』って真顔で報告するような奴だから」


そう言って、俊彦は私に笑いかけた。


(孝太なら、言いそうだな)

つられて、私も笑ってしまった。


「そんなあいつだから、『シューズクラブ』に誘ってみたんだ。
来るかどうかは、全然自信無かったけど、すぐ来てくれたのは、嬉しかったな。…でも
あいつの目的は『就職』じゃなかったけどね」

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